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ンタリー・セクターは創造性・革新・アイデアの宝庫である。ニーズへの対応という意味において、政府よりずっと効率的であり、センシティブである」という観点から積極的に取り組んでおり、保守党のいうパートナーシップの中身である「安くものごとを行う」ということとは異なっているという。そこで本当の意味でパートナーシップといえるものを作り出すためには、現在行われている様々な事例から「良き慣行」(good practice)を探し出すことが必要となり、労働党の議員や自治体、ボランタリー・セクターの協力を得ながら調査を進めているという。
今回のイギリス調査では、労働党のボランタリー・セクターに関する影の大臣アラン・マイケル(Alun Michael)にヒアリングすることができ、どのような「良き慣行」が見つかったと尋ねてみた。彼の語ったところを要約すると次のようになる。

 

どの地域においても適用できる完壁な良き慣行はない。だが、イギリスには長い伝統の中で培われてきた多様なボランタリー・オーガニゼーションが広範な活動を行っており、良き慣行は全国的にある。例えば、その1つとしてNCH(National Children’s Homes)Action for Childrenがあり、子供のための施設である。従来、養子縁組を進めることが最良と思われていたが、現在ではその方向に進めることはしない。新しい方向として関心がもたれていることは、地域コミュニティにおいて子供やその家族と協力しつつ問題の解決方法を探るという方向である。これは大変成功している活動であるが、100年間の活動経験のなかで彼らは大きな転換を迎えている。

 

労働党のこうした政策について、マイケル議員は、公的セクター、私的セクター、ボランタリー・セクターによって現在行われていることを最大限に理解することが我々の目標の1つであり、どのようにしてこれら3つのセクターのパートナーシップを最善にするかが課題である、と語っていた。
最後に、今回のイギリス調査を終えての印象として、イギリスのボランタリー・セクターの高い自立性と力強さを改めて痛感したことがあげられる。なぜこのような自立性をもち得たのだろうか。この点を最後に考えてみたい。
第1に指摘できることは、キリスト教の文化が強くかかわっていると思われる点である。チャリティの資格の1つとして宗教の促進があり、それが長い伝統を有することなど、キリスト教の中にあるボランタリーな活動が社会的に根づいた結果として、現在のイギリス

 

 

 

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